今日、憧れの人が店に来てくれた。
開店は14時。予約も14時。
朝からずっと落ち着かなかった。
夏のあいだはドライフラワーばかりに頼っていたけれど、今日はその人が来るから、花屋でたくさん花を買った。
その人が座る席には、その人を思わせる花を飾った。
14時。
扉が開き、ちょうど開店と同時にその人が現れた。
カウンターに座り、珈琲とチョコのセットを注文してくださった。
… 珈琲を淹れる手が震える。
まさか、あの店主さんが、わたしの店に来てくれるなんて。
京都の店に通っていたころも、会話らしい会話はほとんどしていない。
せいぜい、桜がもうすぐ咲きますねとか、雨なので気をつけて、といった小さな言葉を交わすくらいだった。
だから、わざわざ茨城まで来てくださるなんて思いもしなかった。
珈琲を二杯召し上がられた。
その間、わたしは、美味しいと思っていただけているか、ゆっくり過ごされているか、気が気でなかった。
けれど、帰り際に一言、
「久しぶりに外で美味しい珈琲をいただきました」と言ってくださった。
胸がいっぱいになった。
わたしは、その人のことが、本当に好きだ。