憧れ

憧れの人の憧れの人に、会いたいと思った。

昨年1月、ふげん社さんで開催された「大坊珈琲を味わう会」に参加した。

当時、大坊さんについては「大坊珈琲店のマニュアル」を読んだくらいの知識しかなかったのだけど、でも、尊敬するあの人が憧れる人なのだから、さぞかし素敵な人なのだろうと思っていた。

味わう会では、ブレンドの3番と4番をいただいた。

大坊さんの珈琲を一口飲んだとき、甘くて驚いた。

伝説の喫茶店と呼ばれるのも、分かる気がした。

珈琲を味わった後、質問の時間があった。

挙手制ではなく、全員に回ってくる形式。

私はあがり症なので「緊張して嫌だな」と思いつつ…せっかくだからということで、

「いつか自分で喫茶店を始めたいのですが、大坊さんが思う良いお店ってどんなお店ですか?」と質問した。

大坊さんは「あなたの中に答えはもうあるはずです。」と答えてくれた。

それから月日が過ぎ、7月。

勢いで、喫茶翠想というお店を開店することになった。

つくばは地元ではあるものの、ほぼ知り合いはいなく、孤独なスタートとなった。

相談できる人が、誰もいなかった。

未知は怖く、すぐに緊張してお腹が痛くなる。

何度も「自分にはできない。やめたい。」と思った。

そんなとき、いつも、大坊さんの言葉が私を支えてくれた。

3日前、1年ぶりの「大坊珈琲を味わう会」に参加してきた。

昨年同様、ブレンドの3番と4番をいただく。

珈琲を飲む前はなんてことなかったのだけど、飲んだ瞬間、自分の中でなにかが溢れてくるような感じがした。

1年前、大坊さんにとってはきっと何気ない一言だったのかもしれないけれど、迷ったとき、悲しいとき、やめたいと思ったとき、孤独なとき、辛いとき、いつも大坊さんの「あなたの中に答えがある。」という言葉を思い出してきた。

珈琲を飲んで、ぼろぼろ涙が溢れた。

わたしは、憧れのあの人のようにはなれなかったけれど、それでもいいのだと思えた。

私は、私がいいと思う店をするだけなのだから。

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